100年つづく、うつわと傘。

POTPURRI  Fajans ティーポット/カップ&ソーサー/魚小皿

スティグ・リンドベリとポトペリーのファイアンス

去年、生誕100周年を迎えたスティグ・リンドベリ。20世紀を代表するスウェーデンの巨匠デザイナーです。テーブルウェアからテキスタイル、陶芸作品に絵本、包装紙まで作品は及び、現在でも多くのファンが世界中にいます。 その姿勢にはポトペリーも大きな影響を受けており、特にファイアンスシリーズはリンドベリのようにと、ものづくりを考え意思を持って生まれた作品です。 「Fajansファイアンス」とはヨーロッパで古代から作られている焼き物の総称で、赤みのある土器に白色になる錫釉をかけた焼き物のことを指します。1940年代、安価で丈夫な他の陶器に押され、廃れかかっていた素朴なファイアンス焼をリンドベリは鮮やかな色彩とデザインで蘇らせ、現代まで愛される作品を生み出しました。戦火の中、没個性的になっていた生活シーンに芸術的な潤いを提案したのがリンドベリのファイアンスです。 ポトペリーのファイアンスも同じように、現代のファイアンス焼のあり方を考え作り上げられました。生活に欠かせない電子レンジ、食洗器、金属カトラリーの傷に耐えられる強さ、毎日使う日用品としての価格、忙しい日々に花を添える美しさ。再び「古い陶器」となりかかっているファイアンス焼を引き継ぐために、時間をかけて技術を探し出し、試作を繰り返し、今のファイアンスシリーズが生まれました。
槙田商店 Stig Lindberg Umbrella Collection [DRAPES]

150年続く槙田商店が作るリンドベリの傘

江戸末期1866年からつづく山梨県の老舗機屋、槙田商店が今年スティグ・リンドベリの傘を作りました。テキスタイルの絵柄、陶磁器の絵柄を繊細な織で確実に再現し、大変厳しいスウェーデンのリンドベリ遺族によるデザイン監修を納得させました。 雨の日に顔を照らすはなやかな裏地。日差しをうけて色鮮やかにかがやく表地。とても美しい晴雨兼用傘。ゆっくりと眺めていたくなる傘です。 槙田商店の傘の一番の特徴はジャガード織、傘ではめったに見られない技術です。すでに100年の歴史があり手仕事を大切にしてきた織屋が、どこよりも早くコンピュータシステム化を進め、ジャガード織機を取り入れたことが国内トップと言われる今の槙田商店を作りました。ていねいな先染め技術、縫製の手仕事があってこその選択とはいえ、どれだけ大きな決断だったのでしょう。 現在の6代目槙田洋一さんは、子供のころは街中から機織りの音が聞こえていたのに、今は数えられる程度になってしまった。と寂しそうに語っていたことがあります。郡内織という産地を愛する老舗であり、先駆者でもある。そういった想いがスティグ・リンドベリの作品と出会うきっかけになったようにも感じます。

伝統とは、常に新しくあろうとする気持ちを継ぐこと。

100年愛されるものづくりは、100年同じままでいては守れない。常にその時代の人々をみて、今何が自分たちにできるのか問いかけ、時には大きな決断と変化を恐れず挑戦する。その姿勢と想いを繋いでいくことが、のちに伝統と呼ばれるものになっていくのでしょうか。 スティグ・リンドベリが亡くなって36年。スウェーデンから遠く離れた日本で、彼と同じ想いを持つ職人たちによって、また永く愛される作品が生み出されています。
POTPURRI  Fajans [DRAPES](手書き/清澄白河店限定/数量限定品)